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トップページ>自由投稿>非リベラル国家宣言の背景 寺尾 信昭

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非リベラル国家宣言の背景

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  • ―ハンガリーのユダヤ人問題と新保守主義の系譜―

                              寺尾 信昭

はじめに                  >>> pdf

1 移民導入政策とユダヤ人の同化      >>> pdf
      新保守主義の台頭

2 大戦下のユダヤ人問題アンケート     >>> pdf

3 ヤーシ・オスカルのユダヤ人論      >>> pdf
      戦後革命のイデオローグとしてのヤーシ

4 アディ・エンドレのユダヤ人論      >>> pdf

5 新保守主義の系譜            >>> pdf
      体制転換後

6 非リベラル国家宣言           >>> pdf
     ストップ・ソロス法
     結語にかえて

人名解説                 >>> pdf

Background to the Declaration of Illiberal State (summary)     >>> pdf




はじめに
 ハンガリーの悲劇とユダヤ人を短絡させる新保守主義 (1) の扇動機能(内なる敵の創出)は、体制転換後はイスラエルのハンガリー征服という新たな「ユダヤ人問題」を生み出した。 ソロス財団の活動をハンガリーの安全保障への脅威と捉える フィデス(Fiatal Demokratak Szovetsege)政権 (2) と議会も、 この文脈に位置づけられる。 その意味で、現政権の非リベラル国家宣言(3)(2014年)は、 ロシアや中国をはじめアジア諸国との通商を模索する東方政策(4)の帰結というより、 反リベラル派の土着主義的な扇動政治の一環であると言えよう。
 本稿では、異質な他者を排除することで国民を分断する現政権の非リベラル国家宣言を、 ニューカマーに対するホスト社会の受容と憎悪の歴史的文脈から考察する。

  (1) サボー・ミクローシュは、世紀転換期のカトリック人民党や農業者同盟を新保守主義と命名した。自由主義やマルクス主義に対抗する勢力として登場した新保守主義は、それまで左翼の専売特許であった人民や民衆、あるいは社会主義といった用語を使って「大衆運動を組織し、社会的デマゴギーや近代的宣伝技術を駆使する」新しい政治潮流であった。 Hanak Peter ed., Magyarorszag tortenete 1890-1918[ハンガリー史第7巻](Budapest: Akademiai Kiado, 1978), pp. 944-946.
(2) フィデス政権は2006年にフィデスと政党連合を結成し、以後ジュニアパートナーとして機能するキリスト教民主人民党(Keresztenydemokrata Neppart)を含む。フィデスは同党を介してカトリック教会と提携し、支持基盤を強化した。
(3) 2014年7月26日、トランシルバニアのハンガリー系マイノリティの集会で、オルバン・ヴィクトル首相が行なった講演は、次のYouTube(https://www.youtube.com/watch?v= mHxg3Aoir6w)で見られる。
(4) ハンガリーの東方政策(keleti nyitas)は、フィデスとヨッビクの2010年綱領に共通して見られる。 フィデスは東方諸国(中国、ロシア、インド、その他のアジア諸国)との通商関係に言及し、 ハンガリーがEU諸国とアジア地域の中継基地たり得ると論じた。 Fidesz, "Nemzeti ugyek politikaja"[フィデスの2010年綱領](http://static.fidesz.hu/download/ 481/nemzeti_ugyek_politikaja_8481.pdf), p. 46.
[2019.6.30up]

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